事務所開き

知人から事務所開きパーティの案内状が届いた。方向性の合わなくなった会社を辞め、独立することになったのだそうだ。これを聞いて、何の邪推もなく純粋にすごいと思った。私が昔勤めていた会社にも、独立していく人がたくさんいた。仕事のできる人ばかりだ。成績のいい人ほど、会社の待遇に満足していない。自分のやり方に自信があるから、会社の方針に牙をむく。このすれ違いが徐々に大きくなって、独立の決断をさせることになるのだろう。
でも、独立していった人の現在を見ると、うまくいった人は数えるほどしかいない。お客さんと良好な取引関係が築けていたのは、その背後にある会社の信用力があるという前提を忘れて、全ては個人としての自分の実力だと錯覚してしまった結果だろう。会社間のつきあいでは利害関係を無視することはできない。たいていはリスクの大きい、できたばかりの小さな会社との取引は嫌がる。その壁を乗り越えられず、潰れていった人の方が圧倒的に多い。
私はこの現実をたくさん見てきたから、独立するという考えにはなかなか及ばない。それだけに、大きな冒険にチャレンジするこの人は純粋にすごいと思うわけだ。確かに独立はリスクが大きいが、その分リターンも大きいだろうから、ぜひ知人には成功してもらいたいと願うばかりである。