ありがとうのことば

この言葉を言うのはちょっと気恥ずかしいものだが、言われると嬉しい。私の中で印象に残っている出来事がある。社会人1年生、事務機の営業として駆け出しの私に、初めて自分で獲得した新規のお客様がいた。14,5名の小さな会社で消耗品程度少額の取引しかなかったのだが、初めての顧客ということもあってマメに通っていた。その会社の事務員さんからある日電話が掛かってきた。「ファイルを3冊、急ぎで欲しいんだけどお願いできますか?」早速、商品管理部に確認してみたが在庫がない。注文すれば3日はかかるという。でも、折角私を頼って相談してきてくれたんだから、なんとか報いたい。そこで、同業他社の文房具店に電話をしてみたところ、在庫があるという。早速、そこに買いに行き、そのままお客さんにところに配達した。包装紙が他所のお店のままだったから、お客さんから事情を聞かれ説明したところ、「たったファイル3冊のために、こんなにしてくれたんですか」と喜んでくれた。その話を聞きつけた社長も出てきて「たった3冊のファイルだけど、大事なお客様に納品するために必要だったんだ。ほんとに助かったよ、ありがとう。」とお礼を言ってくれた。自分の存在価値が認められたようで本当に嬉しかったのを覚えている。この出来事を境に取引額が増えたのは言うまでもない。