乗せてください?

家を出て車に乗り込もうとしているところに、突然声をかけられた。振り向くと大学生らしき男の子が「○○まで乗せてもらえませんか?」と言うではないか。方向は同じだったが、見知らぬ人を乗せるのは気が引けたので断った。

それから車に乗り込んで出ようとするとバス停でオロオロしている彼の姿が見える。どうやら、急いでいるのにバスが来ないということのようだ。なんだか可哀想な気がしたので、彼を呼んで乗せてあげることにした。

話を聞いてみると、寝坊してバイトに遅れそうとのこと。昨日は慣れない肉体労働のバイトで疲れていて、つい寝過ごしてしまったらしい。更に運が悪いことに、両親は北海道へ旅行中で、家にはひとりしかいなかったのだそうだ。

そんな話を聞いていると、自分の大学生の頃を思い出した。夜通し遊んで帰ってきたのは朝の7時。あまりにも眠くて、これで車の運転は危ないから5分だけ休もうと思って横になったところ、目が覚めたのはなんと夕方の4時。バイト先で怒られたことは言うまでもない。

いきなり乗せてくださいには少々面食らったが、昔を思い出すきっかけをくれた彼には感謝したい。なかなか面白い出会いでした。