甲子園への遺言/門田隆将
- 作者: 門田隆将
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2005/06/29
- メディア: 単行本
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今時はコーチングが流行で、書籍やセミナーだらけで、にわかコーチが世に溢れかえっている時代だが、当時から独自の考えでこれを実践していたというのだから、驚いた。私も小中高と野球をやっていたが、絶対的な縦社会で、上からこうだと言われたら、その通りやるしかなかった。
自分を誇らず、選手の陰に控え、そして自分の打撃理論をけっして選手たちに押しつけることがありませんでした。生前、高畠さんは、「コーチの仕事は”教えないこと”だよ」と、笑いながら語っていました。
こんなコーチに出会えた人は幸せです。
自分が指導する側にまわった今(野球ではなくて、会社で)を考えてみると、自分が受けてきた押し付け型の指導をしている。自分の成功体験をもとに、こういう時はこうするもんだと話している。そんなんじゃ、部下を伸ばすことはできないと思いながらも、自分の狭い経験、知識では、そうしかできないのだろう。コーチングは、ちょっと本を読んだり、セミナーに参加したくらいで、現場に活用できるほど、甘くはないですな。
高畠さんは、時代が時代だけに、コーチングを受けた体験はそうなかったはず。それでも、この指導スタイルを貫いてこれたというのは、よほど人間ができていたからに違いない。そう考えると、コーチングっていうのは、技を磨くことよりも、人間性を磨くことが本質なのかもしれませんな。